マンションギャラリーの来場時に記入する「来場アンケート」。全3回にわたり、各項目の深い目的を解説してきましたが、いよいよ本丸の「資金力・予算」をとりあげます。
マンションギャラリーにこれから行くという方は、「アンケートの各項目にどんな意味があるのか」を、営業マンにとっては項目や記載内容の読み解き方などを、予算、年収/自己資金、月々の返済希望額の3つの観点から、徹底解説します!
(はじめに)お客様アンケートとは?
お客様アンケートの概要については、前回の記事の冒頭をご参照ください。
また、最初にチェックすべき個人情報についても、当該記事で説明しています。未読の方はまずはそちらをご覧下さい。
→ 来場アンケートを攻略せよ①「個人情報」3つのポイント
→ 来場アンケートを攻略せよ②「興味度・地縁」5つのポイント
資金力・予算はなぜ本丸?
どんなに物件へ興味を持ってもらっていても、また強い地縁があったとしても、肝心なのは顧客の資金力です。
要は、その物件を買える能力があるかどうか、アンケート取得時点で判断します。
無い袖は振れないため、資金力がない顧客に対して営業をしても、時間の無駄になってしまいますからね……。
予算
これは、言わずもがなの項目ですね。
例えば、6,000万円以上の住戸しか空きがない場合、「~4,000万円」の予算帯にチェックがされていた際には、営業マンは大変がっかりします。
しかし、不動産購入についてあまり詳しくない顧客は、「資金力」と「予算」にギャップがある場合がほとんどです。
その「資金力」を確認するために、取得するアンケート項目は以下の通りです。
- 年収
- 自己資金
- 月々の返済希望額
これらで顧客の資金力が確認できれば「予算アップ営業」のスタートです!
では、各項目について細かく解説します。
年収/自己資金
大半の顧客は、住宅ローンを利用してマンションを購入するケースがほとんどです。
「いくらまでローンを組めるのか」
これを確認するのに、年収をアンケートでヒアリングするのです。
年収からローン借入可能額を計算する、細かい計算式はありますが、来場アンケートを取得して短時間で
①顧客の個人情報から読み取れる属性(前々回解説済)
②興味度・地縁(前回解説済)
③資金力・予算
を把握しないといけないため、いったんは
「年収の7倍」でローン借り入れ可能額を計算します。
そしてその額に、別途項目でヒアリングしている「自己資金」の金額を足していくのです。
例えば、年収700万円/自己資金500万円とアンケートに記載されている場合。
年収700万円 × 7 + 自己資金500万円
=5,400万円
つまり、この顧客に対しては5400万円くらいまでの住戸を案内できることが分かります。
月々の返済希望額
月々の返済希望額からも、予算とのギャップを確認できます。
ここでは分かりやすく、
月々15万円 ボーナス0万円
が希望額と仮定します。
私の職場では、以下の計算方法で予算を計算するように教え込まれました。
150,000÷2,650×100
=5,660万円
(※ちなみに2,650の意味は、35年ローンで金利0.65%の際の100万円あたりの返済額です)
5,660万円が、この顧客の本当の予算である、と確認できます。
この計算は、電卓で10秒もあれば算出できるので、営業をはじめる前に必ず計算していました。
これらの方法で、「資金力」と「予算」のギャップを事前に認識した上で、営業中に予算アップの伏線をばらまき、スムーズに売りたい住戸へ誘導させるのです。
おわりに
ここまで3回にわたり、来場アンケートに隠された目的を解説しました!
これからマンションギャラリーに来場する予定の方にとっては、「アンケートの各項目にどんな意味があるのか」事前に把握していくと、より不動産の検討が楽しくなってきませんか?
また、若手営業マンの方は、これからの営業に少しでも生かせることがあれば幸いです。